■ 外科用材料・機材のご紹介
2013.3.28[Thu]
■このところ、オペは一段落しております。時折ご質問を頂く外科系の材料などをご紹介させていただきます。
1段目:「Aspiject」
最近市販された麻酔筒で、あまり周知されていないかもしれません。従来のガラス管アンプル入り麻酔薬が使用できます。特徴は、従来薬液消毒しかできなかったアンプルをクリアーな樹脂筒体に収めて使用する点にあります。滅菌レベルを向上することが可能になります。
2段目-左:「Bio-Gide」
世界中で最もポピュラーなメンブレンのひとつ。メンブレンは歯周組織再生時などに正常な治癒へ導く為に使用します。最近、日本での薬事承認がおりました。(豚コラーゲン)(16〜24週)
2段目-右:「Bio-Oss」
人工骨です。人工骨は合成骨・他種骨・同種骨などの種類があります。Bio-Ossは他種骨。Bio-Gideと共にポピュラーな製品です。
3段目-左:「Osseo Guard」
こちらもメンブレンのひとつ。吸収期間が長い特徴を有しています。比較的硬く操作がやや難しい材料。(26〜38週)(牛コラーゲン)
3段目-右:「Osseo Guard Flex」
その名称どおり、Osseo Guardを軟質に改良した製品。(26〜38週)(牛コラーゲン)
4段目:「Mucograft」
粘膜結合組織欠損を補うために使用します。歯肉移植の必要が無くなる場合や歯肉の厚さを増やしたい場合に用います。
■患者さん方には「何の事やら・・・」な内容ですが受診される歯科医院を選ぶ時などに参考になるかもしれません。
■ 現在治療中のケース-歯槽骨造成手術
2013.3.14[Thu]
■本日は歯槽骨の造成手術をご紹介させて頂きます。
こちらの患者さんの右下76番は抜歯から長期間が経過しておりまして、ご覧のように吸収した三角断面を呈しております。
このままインプラントを埋入することも可能ではありますが、術後の「インプラント性歯周炎」および「歯の長さの不揃い」が生じます。このような状態に対応するため歯槽骨造成手術を先行施術いたします。
1段目:右下76番相当部の歯槽骨の術前の様子です。
2段目:歯肉を剥離し埋入骨への血液供給を確保するため、皮質骨を穿孔し骨髄から出血させます。
3段目:人口骨および自家骨を埋入します。埋入骨の拡散を防ぐため、自己血からフィブリンを調整し接着剤として使用します。その後、歯肉の正常な治癒のためコラーゲン膜にてカバーします。
4段目:そして縫合です。
■歯槽骨を穿孔し出血をさせた場合、術後に皮下出血を生じやすくなります。また、腫れもやや強めに出現します。術前に患者さんへの説明が欠かせません。
6ヵ月間の固定期間を経てインプラントの埋入を予定します。
■歯科衛生士さん・歯科技工士さんは継続求人中です。患者さんと10年単位で向き合いたい方、ご連絡お待ち致しております。
■ 歯科医療 - #5 ライトな治療とヘビーな治療?
2013.3.7[Thu]
■ライトな治療とヘビーな治療?何の事かと申しますと、最近の歯科治療の二極化のことなのです。
人口の減少・歯科医院の増加・医療費の抑制による低診療費などの理由を背景に、治療中心だった歯科は予防や審美を取り入れてきました。
一方、肝心の治療の質は私が開業した頃のままのように思います。勿論、全ての歯科医はそれを良しとはしておりませんで、上記のような医療環境の中で最善を尽くしているのですが・・・。
心配なのは、今のライトな歯科治療の流れの中で、患者さん方が誤解していることが多いこと。「フッ素を塗っているから大丈夫」「電動ブラシで何分磨いている」「定期的に歯石を取っている」「最新の材料と機材で治した」などなど。共通しているのは「簡単・早い・治療費が安い」という事。大切なことは、治癒しているかどうかです。
疾患が軽度な場合が多い若年層の場合、これで済んでしまいます。しかし、年齢を重ね中年以降になると問題が悪化し、自覚症状が出現します。この時期に受診しても期待する治療結果が得られず、「あの時期にきちんと治しておくべきだった・・・」と実感され、何件もの歯科医院を転医されている中高年の方々が多数いらっしゃいます。如何ですか?
歯科の対象である歯・歯周組織・咬合。どれも最初の治療こそしっかり治療し「最後の治療」とし、最小限の人工物で機能の維持を図ることこそ本筋なはずです。
■画像は小学生の頃に治療(保険診療)させていただき、その後、数ケ所の処置を加え現在に至る患者さんです。現在40歳代の方です。
■ 歯科医療 - #4 大切な保険診療の公共性
2013.3.2[Sat]
■今は土曜の夜です。忙しい診療から切り替えが出来る休診日は、地に足を着け立ち位置を確かめたくなります。小心者かな?
ブログ形式の「TODAY」では一般診療のご紹介が中心ですが、私どもの診療方針の基本は「保険診療」です。
医療には公共性が必要だと考えております。特定の患者さんだけが医療を受けられる状態は医療保険制度の趣旨にそぐわないでしょう。
一般診療の対象となるのは、保険非適用の治療方法や材料を使用した場合・保険診療の治療基準から外れる場合(抜歯となる歯を保存するなど)・回数制限を越える場合(例えば義歯は6ヶ月に1つの給付に限定され、仮の義歯は給付外です)・見た目の障害(歯の色や形など)・患者さんの意向(意外に感じる方が多いと思いますが、患者さんは決まった給付に従うことになります)・そして、医療費が決まっていますので自ずと治療結果も決まってきます。保険診療の低単価の問題はまた別の機会に・・・。
いろいろな問題があってもやはりその「公共性」は担保されなければなりません。
私たちはその専門性から、ともすると技術偏重の自己満足に陥りがちです。その殆どが一般診療ですので「医療の公共性」を失うことに繋がります。保険診療でまともな診療を継続するために本当に苦労してきました。家族すら犠牲にしかねません。それでも私の医療の中心は「保険診療」です。
医療は治療を受ける患者さんの「満足感」が得られれば成功と考えるべきでしょう。保険診療には保険診療なりの、一般診療には一般診療の「納得」が必要です。私たちは患者さんの意向をしっかり汲み取り、その意向を提供しなくてはなりません。
■画像は今から30年近く前に処置させて頂いた患者さんの現在の状態です(保険診療)。左上5番は4/5冠、6番はインレー、左下56番は冠を装着しております。厳密には二次カリエスが発生しています。その診断を患者さんにお伝えした上で今回は処置に入ることになりました。
保険診療か一般診療か?患者さんご自身が決定するべき対象です。私どもはそのための説明をさせて頂きます。「誘導」はNGです。医院の信用を崩しかねません。皆様はどう思われますか?