■ 現在治療中のケース-歯槽骨造成手術 #3
2013.7.25[Thu]
■本日の「現在治療中シリーズ」は「歯槽骨造成手術」の3回目をご報告させて頂きます。
1回目 : 2013.3.14[Thu]現在治療中のケース-歯槽骨造成手術
2回目 : 2013.6.4[Tue]現在治療中のケース-歯槽骨造成手術 #2に続く3回目となります。
強度に骨吸収した右下76番に対してインプラント補綴を予定しておりまして、先行OPEとしまして「歯槽骨の造成手術」を実施(1回目)。後日、その予後をご紹介させて頂きました(2回目)。本日のご紹介はインプラント埋入の様子を伝えします。
1段目:術前の右下76番相当歯槽部の様子
2段目:「歯槽骨の造成手術」時の様子(1回目のOPE)
3段目:その予後
4段目:インプラント埋入位置を決定するための診断模型。この模型を光学スキャンし、そのデータをCT画像データに重ね合わせます。合成したCT画像上で3次元のインプラント埋入位置を決定します。その後、決定した位置にドリリングするために「サージカルガイド」を製作します。これでCT画像上の埋入計画を口腔で再現することができるようになります。
5段目:「歯槽骨の造成手術」を実施した歯槽骨の様子。きれいな回復を確認できました。
6段目:そして「サージカルガイド」を使用したインプラントの埋入です。本ケースでは神経と血管の側枝を避けるためにやや変位した位置に埋入しています。
術後は当日の軽度の疼痛あり・皮下出血はなし・腫れもなしでした。
まだまだ簡単に済ませているケースが多いインプラント。手間と費用がかかりますが「安全」な手術がスタンダードです。
数ヶ月後、上部の冠の製作の様子をお伝えさせて頂く予定です。
■ 素敵な人材のご紹介です
2013.7.20[Sat]
■新たなメンバー清水さん、ご挨拶を兼ねてご紹介させて頂きます。彼女はキャリア10年のベテランです。
まだ入所から日が浅い清水さんですが、早くも診療室を明るくそして安心感で満たしています。周囲への配慮に優れ気の利く立ち回りと使命感を持ち、同時に技術も持ち合わせています。もちろん一般常識も身に付けておられ、これからの活躍に期待しております。
患者さんを預からせて頂く立場の私にとりましては「任せられる人財」が絶対条件。その条件を上回る活躍が始まっています。
患者さん方の信頼を獲得されることと思います。
清水さんは「メインアシスタント」を担当して頂きます。患者さんをはじめ関係者の皆様、よろしくお願いいたします。
■ 歯科医療 - #5 歯科医療の現実
2013.7.10[Wed]
■最近「歯科」を特集した週刊ダイヤモンド誌が発刊された事をご存知でしょうか?歯科を取り囲む状況と現実が書かれています。
このブログでも何度か書かせて頂きましたが、「歯科」に関わる諸問題の究極の原因は健康保険制度の未熟さに起因していると考えています。
内科や外科など他科での現実は私には判りませんが、少なくともまともに処置できない報酬が平然と放置されて、質を落とした短時間での診療を余儀なくされています。
そこには(あらゆる業界がそうであるように)、「収益と質」のバランスポイントの設定があり、経営者の方針により設定され経営されています。
全国どこで受診しても診療報酬は同一ですので、短時間で患者数を多く診ると収益は向上します。一方、短時間では医療行為と呼べない診療内容になってしまいます。
敢えて出所は伏せますが、診療報酬の設定方法について書きます。20年以上前のものです。
歯科医の1分当たりの収入が101円。同様に、1分当たりの経費が209.5円。都合約311円が保険収入となる設定です。
実際の診療を例にとります。前歯の抜歯の場合、再診料を含むと1760円が診療報酬となります。
これを1分当たり311円で割ると5.7分の処置時間が許されます。この時間内で身体の状態の把握や麻酔、抜歯、注意や説明を賄うことになります。あり得ないことです。しかし納めなければ減収となります。全ての歯科医師は自らを犠牲にし保険診療を担当しているはずです。上記の処置では平均15から20分は必要でしょう。
医者のモラルを貫けば経営が成立しない立場に置かれた健康保険医。このような環境下で発生する事故の責任は全て医師にあるのに。
患者さんのクレーム、スタッフの離職率の高さなどよくある歯科の問題の本当の理由はこういった日の当たり難いところに起因しています。
国民皆保険を謳う健康保険。われわれ歯科医も患者も贅沢であってはなりませんし理想のみを求めるのも現実的ではありませんが、最低限の医療供給体制が保障されている制度でなくては成立しないと思います。
主役は保険料を納めている患者さんのはずです。
歯科医の私が治療を受ける必要が生じた場合、安心して任せられる保険医を未だ知りません。何故ならとっくに閉院しています。
■ 現在治療中のケース-浮かずに咬める総義歯を造れ #3
2013.7.4[Thu]
■本日の「現在治療中」シリーズは総義歯。2012.12.23[Sun]のUPに続き3回目となります。
こちらのご婦人も今まで保険の義歯を長らくご使用頂いてきました。しかし、残存歯のダメージが大きく吸着が得られない状態でして、吸着安定さえ得られれば総義歯に移行したほうがメリットが大きいと診断いたしました。
1段目:抜歯前の口腔の様子。抜歯後歯ぐきは吸収し、形態が安定するのにおよそ6ヶ月を要します。その間、旧義歯に人口歯を追加修理して使用して頂きます。
2段目:同上
3段目:「筋圧形成」と呼ばれる手法で型採りいたします。この時点で吸着が生じていることが必須です。
4段目:採取された製作模型です。
5段目:上下の顎および頭部との位置関係を採取いたします。
6段目:ロウ製のテスト用義歯を別に製作しチェックおよび修正いたします。
7段目:完成した吸着性総義歯。
8段目:口腔内にて微調整を加え機能をチェックし装着となりました。
総義歯は患者さんにとって最終の欠損修復物です。患者さんの「トラブルが生じない限り最後の歯科治療としたい」との想いを受け止めながらの製作です。