■ CTデータの有効性 #2
2014.2.28[Fri]
■昨日ご紹介した「CTデータの有効性」の続編です。
□一次手術
1:製作したガイドです。右下の7番にドリリング方向を規制するステンレス製のチューブを固定しています。
2:術前の右下7番の様子。
3:予定した三次元的位置に埋入できました。
4:縫合完了。
□二次手術
5:4〜6カ月後、冠固定用のパーツを接続します。(使用しない場合があります。)
6:歯肉の厚さを増すために歯肉代用材を用い、縫合いたします。
歯肉の回復を待ち(1〜2ヶ月)いよいよ冠の製作に移行します。
「ガイデッドサージェリー」と呼ぶこの一連の方法の有効性がお伝えできたでしょうか?
■ CTデータの有効性
2014.2.27[Thu]
■インプラント埋入手術。ご自身が選択する立場になった場合、やはり「怖い!」と思うのは当然のことです。また、インプラント埋入後にトラブルを生じたケースなどを知ると義歯を選択せざるを得ないことになります。
私はCTデータ上で手術計画を立案します。専門の業者の方に質問をしましたところ、東京都内でインプラントを実施している医療機関の内、この方法を採用しているのは2/3程とお聞きしました。
安全性の確保と共に予後の安定のためにも非常に有効な方法です。インプラントを検討される場合、「CTによる計画立案とガイドの使用」を確認されることをお勧めいたします。
1:最終的にセットする予定の冠を事前にデザインしておきます。
2:その冠に合わせインプラントを取りあえず設置します。下顎に存在する太い神経および血管をマークし(オレンジの線)、使用するインプラントの長さなどを選択します。
3:その透過像。
4:そして拡大像。
5:骨断面での埋入方向と太さおよび長さの調整。
6:骨の外壁や神経などとのクリアランスの計測です。
7:水平面での調整。
8:骨の硬度を分析します。
計画を確定しますと、その位置を反映したドリリング用のガイドの作成に移行します。(続)
■ 現在治療中のケース-前歯の審美修復
2014.2.20[Thu]
■本日は、最近装着した前歯の審美修復のご紹介をさせて頂きます。右下2番は深いう蝕のため神経を除去後、根管充填をいたしました。
支台には樹脂を浸透したグラスファイバーとレジン樹脂を使用しました。最近、この組み合わせによる支台形成が普及しています。一方、旧来の方法として鋳造した金属を装着する方法があります。
グラスファイバーとレジン樹脂の特徴は、光の透過性を有すること、歯根の破折を生じにくい点。
鋳造した金属を装着する方法の特徴は、強度に優れますが、光の透過はありません。
どちらも一長一短でして、その特徴を生かした使い分けが長期の安定のためのポイントとなります。
こちらのケースでは、残存歯質が多いこと、また比較的ご高齢の患者さんため歯質にはマイクロクラックが発生していることを考慮しグラスファイバーとレジン樹脂を選択しました。
1:装着前の口腔内です。
2:微調整を終え試適時の口腔内です。
3:それぞれの拡大像です。
4:色調表現を患者さんに確認。了承して頂けました。
5:製作模型上の右下2番。
6:その拡大像。
7:内面の様子。
冠は、金属フレームの上層にセラミックを焼き付けた、旧来の製作方法で作成したものを使用しています。
■ 現在治療中のケース-成功率50パーセント
2014.2.5[Wed]
■歯周外科を実施しておりますと、患者さんから求められる治癒像の個人差が大きいことを痛感いたします。本日はそんなケースのご紹介です。
右上7番は通常3根ですが、このケースは3根とも根尖まで骨吸収を生じています。唯一、根の後方の一部で骨と接続している状態です。また、右上6番は欠損しており、強度の骨吸収を生じております。
医学的な診断基準では「抜歯」の適応ですが、患者さんの強い意志により保存療法を試みることに致しました。
右上7番は事前処置として根管消毒後、根管充填を済ませておく必要があります。
また、歯の固定を図るため根の周囲の一部に石膏系の骨補填材を使用し、残りの根面は自家骨で被服し歯根膜の再生を期待します。
非常に薄くではありますが骨壁が残存していますが、オペにより吸収することが予測されます。採血から生成されたフィブリンと人口骨を混合しゲル状の骨とし、埋入後の拡散を防止します。
1:オペ前の右上7・6相当部です。一見するとあまり問題ないようにみえますが・・・。
2:歯肉を開きますと大規模な骨の欠損。7番は遠心で辛うじて固定されています。不良肉牙を除去後歯根面を清潔にいたします。
3:2の拡大像
4:事前に採血し遠心分離した血漿。フィブリンと血小板です。
5:石膏系骨補填材と人口骨を混合したものを歯の固定目的で埋入します。その他の根面及び欠損部は通常の人口骨を埋入します。
深部は1〜2mmの顆粒、表層は0.5〜1.0mmの顆粒を使用し血液の供給を図ります。
6:メンブレンで埋入した骨を被服します。
7:縫合です。
このケースは特殊なケースです。成功率は50パーセント。それでも患者さんの強い希望により実施に踏み切りました。後日結果がでましたらまた御報告させていただきます。
■ 現在治療中のケース-小臼歯の審美修復
2014.2.1[Sat]
■本日は右上5・4番の審美歯冠修復のご紹介です。
歯の色調再現は、一部数値化されているものの、未だ人の感覚で再現しています。
口腔内で基準となる何種類もの「歯の色見本」を試適し、デジタルにて画像撮影をいたします。ですので、ライティングや診療室に挿す日差しの状態などにより微妙に色合いが変化いたします。
撮影された画像は技工へ送られ、その画像を見ながら、時には創造を加え焼き上げて頂きます。「焼き上げる」とは、パウダー状のセラミックを使用しているためです。
審美歯冠修復に必要な諸条件、高い適合による二次カリエスの防止・適切な咬合面と歯頚部の形態・そして他の歯にマッチした色調、これらをバランスよく纏めて完成します。
患者さん方には判りにくいのですが、これこそが「治療品質」そのものなのです。
1〜4:完成した右上5番と4番-全体
5:装着まえの状態
6:微調整を終え試適中の状態
精密な治療は時間を要します。
歯を削り、型を採り、仮歯を修正するのに3時間程、完成した冠を装着するのに1.5時間程を要します。