■ 現在治療中のケース - 大きく喪失した上顎骨を復元せよ #2
2014.8.24[Sun]
■本日は、2014.7.30[Wed]にUPさせて頂いたケースの続編です。
前回の右上に続き、今回は左上567番を対象しとた再生手術です。左上7番は事前に抜歯を済ませました。
左上56番の歯周組織再生術(GTR)、左上7番相当部の強度の骨吸収を補うための骨造成術を同時に施術いたしました。
成否のポイントは「6番の埋入骨の維持」と「血流の確保」および「歯肉吸収の防止」です。7番は「膜の固定」が成否を分けることとなります。膜を固定するためのピンを打つ骨が欠損しているためです。難しい手術です。
1: 事前のCT像です。6番は辛うじて3根で保たれています。
2: 7番相当部は欠損がひどく固定用ピンを打つ領域がありません。吸収性縫合糸による固定を実施いたしました。
3: 深部の埋伏8番の様子。
4: 術前の左上臼歯部。
5: 歯肉を剥離すると3根の根間には骨が認められません。特に、後部ほど激しい吸収でした。
6: 根・周囲組織を整えまして、Emdogain処理・自家骨および人口骨を埋入。6番には吸収性メンブレン(膜)、7番には非吸収性チタンメンブレンを設置いたしました。埋入骨は血小板にて処理後使用しております。
上下左右臼歯部に強度の骨吸収を患うこちらの患者さん、今回で3回目のオペです。保険治療の場合、義歯を使用しなければならず、これを避けるために再生治療を進めているケースです。生体に残された可能性を出来るだけ引き出すケースと言えます。
現在の歯周組織再生療法は決して万能ではありません。適応範囲が存在します。しかし、保険治療で抜歯の適応とされる状態でも保存可能となるケースは多々存在します。
■ インプラント埋入OPEの手順 #2
2014.8.14[Thu]
■前日の続編です。
サージカルガイドを使用した埋入手術(1次・2次)と歯周組織の処置
1:完成した埋入計画のデジタルデータを使用しサージカルガイドを製作いたします。サージカルガイドはドリリングの際の三次元の位置を規制をします。つまり、埋入計画通りの位置にインプラントを埋入することができます。
埋入手術に伴う最大のリスクを大幅に低減することができます。
2:インプラントの埋入完了です。
3:埋入後、4〜6ヶ月の固定期間を設定します。
4:2次手術の様子です。
5:こちらの症例の場合、一部に人口骨を埋入しています。
インプラントは歯肉との境界部からの感染に弱く、数年を経て周囲骨の吸収を生じる場合があります。歯周組織の良好なコンディションの獲得は長期の良好な予後の獲得に非常に重要な要素です。
前回と今回、2回にわたりインプラント埋入について纏めてみました。最もスタンダードな方法をUPしております。
低費用化と短期間化するため、2回法の手術を1回法で実施することもケースによっては可能です。
サージカルガイドを使用しない埋入は、私の場合ですが行っておりません。
参考になりましたでしょうか?
■ 夏季休診のお知らせとインプラント埋入OPEの手順
2014.8.12[Tue]
■今年は「8月13日(水)から8月17(日)の期間、夏季休診」とさせて頂いております。何卒ご容赦ください。
■今日は13日(水)。少し纏った時間が取れましたのでインプラント埋入の手順を実際の症例でご紹介させて頂きます。
安全を担保するためそのステップが多く、手順が判りにくくなりがちですので比較的お問い合わせが多い項目の一つです。
診断・手術計画の立案とサージカルカイドの製作
1:術前の対象部位です。左下7番にインプラントを埋入予定です。
2〜5:事前にCT撮影、診査模型の製作を済ませておきます。
次に診査模型上に最終的にセットする冠のワックスモデルを作りセットします。更にこの模型を光学スキャンし形状をデジタルデータ化します。
最後にCTデータ上に模型データを重ね合わせます。これで骨・歯牙外形・粘膜面外形がデータ上に再現されます。手術計画の立案ができるようになります。
埋入対象部位の組織の状態(骨量・骨質・神経血管の位置)、三次元的な埋入位置(軸方向や使用するインプラントの選択)、対合歯の位置とスペースの検討などを経て、最適な埋入計画が決定します。