■ 現在治療中のケース - 前歯部の形成外科(審美障害) #1
2015.7.29[Wed]
■本日は、歯周組織の再生と形成外科の双方の要件を満たす必要のあるケースのご紹介です。
右下2番は過去に抜歯され同部の歯槽骨は極度に吸収しています。更に右下3番は口唇側へ移動し歯肉レベルが低下しており審美障害が主訴となります。
1: 装着されていたブリッジを除去しプロビジョナルブリッジ(樹脂性)に置き換えます。その状態でCT撮影を実施しました。
右下2番相当部は唇側の水平方向の骨吸収が進行し薄く変化しています。また、右下3番は垂直方向の吸収を認めます。更に、ブリッジを装着したため歯根表層のセメント質は一部が削除されています。歯周組織の再生にはこのセメント質の存在が不可欠ですので難しい処置となります。
2: 同、上方からの画像。
3: 同、垂直方向の画像。先端の骨幅は3mm程に変化しています。
4: 術前の口腔内です。
5: 歯肉を剥離しますと右下3番の唇側の骨吸収が顕著であることが確認できます。右下2番は血液供給を確保するため骨を穿孔し出血を即します。右下3番は残存セメント質を一層除去しセメント芽細胞が活動しやすい環境にします。
6: 通法どおり人口骨を埋入しメンブレンにて被覆します。
7: 剥離した歯肉を復位します。骨を埋入した場合、歯肉の長さが足りなくなりますので、減張切開を加え上方へ引き上げ縫合します。歯肉の裂開を防止するために厳重に縫合します。
通常、外科手術により歯肉組織は萎縮します。予め萎縮を見込んで復位しますが、二次手術を行う二回法となることもあります。事前に患者さんへ説明しておくことが重要ですね。
■ 現在治療中のケース - 大きく喪失した下顎骨を復元せよ #5
2015.7.22[Wed]
■2015.2.9[Mon]にUPさせていただいた「現在治療中のケース - 大きく喪失した下顎骨を復元せよ #4」の続編です。前回はインプラントを埋入し、その数ヶ月後の二次手術までの様子をご覧いただきました。今回は、インプラントに接続する冠の製作の様子です。
1: 術前のインプラント埋入手術のCT計画画像です。この計画どおりに埋入するために、また、手術リスクを低下する目的でサージガイドを使用しています。
2: インプラント埋入直後の状態です。骨が不足していましたので事前に骨を造成しています。
3: 数ヶ月後の二次オペレーションです。インプラントが歯肉を貫通します。更に歯肉の治癒を待ちます。
4: こちらが全ての外科処置を終えた歯肉の状態です。患者さんからみて右下です。
5: 同じく左下の状態です。歯肉が治癒するまで装着するアバットメントをこれから外します。
6: 接続する冠の製作のための型を採取します。こちらは左下です。
7: 同様に右下の様子です。今回は左右を同時に型とりしています。
こちらのケース、特に左下の骨の欠損が大きく患者さんの負担は増加しますが、事前に骨造成をしています。インプラント本体はしっかりバイオインテグレーション(固定)することができました。
後は冠を装着するのみです。Kさん、よくがんばられました。