■ 現在治療中のケース - 左上2番を早期に審美修復せよ
2018.11.29[Thu]
■本日は、稀なケースのご紹介です。
左上2番はカリエス等何らの疾病の発生が無いにも拘わらず、歯髄失活(神経が壊死)しています。その結果、歯の内部から変色し外見上赤茶色に見えています。
稀に遭遇するこのケース、歯の形成期に何らかの支障をきたし、歯髄と繋がる細管が歯の外部と交通しています。その結果、その細管から感染をきたし、歯髄がやられてしまいます。
こちらのケースでは、歯髄失活から相応の時間が経過しており、歯の内部の炎症に留まらず、歯根尖部に5から7mmの膿胞を形成しておりました。
治療方針は、左上2番の抜歯および歯根尖部膿胞の除去、同時にインプラントの埋入とその周囲の歯槽骨造成を1回のOPEで予定しました。
1 : 術前の左上2番です。周囲の歯と比較すると赤茶色がかっています。歯髄が失活していることによる変色です。
2 : CT画像です。同部歯槽骨には窓状の骨吸収が確認できます。
3 : 内側には、排膿部も確認できます。こちらも口蓋骨の吸収を生じています。
4 : 左上2番を慎重に抜歯します。吸収を免れた僅かな歯槽骨を温存するためです。ここを失うと治癒後、歯肉が大幅に下がってしまい、審美性に問題を生じるためです。そして、根尖部の膿胞を摘出していきます。
5 : 前処置が済み、インプラントを埋入します。インプラント周囲に骨はほぼ存在せず、インプラントの先端3mmのみ上顎骨に埋入しました。同時に、骨欠損部分に、自己血液成分から抽出したフィブリンと人口骨を混合し埋入していきます。
6 : 歯肉を全く剥離せず終了しました。
7 : 抜歯した歯の歯冠部を切断、その歯冠部を隣在歯に接着し審美性を確保しました。
人口骨の成熟に3から5ヶ月を要し、その後インプラントの歯冠部を接続する予定です。