■ 新年のご挨拶
2021.1.4[Mon]
■今日は2021年1月4日です。多くの方が困難な時間を過ごされ新年を迎えています。お疲れ様です、そしておめでとうございます。
TODAYのページの趣旨は、現在治療中の方の了解を得た上で、ありのままの治療経過を紹介させていただくことで、治療の良しあしが分かりにくい歯科医院選びの参考にしてして頂きたいと企画したページです。
ここ数年来、他院で治療中の方が転院されてくるケースが目立ちます。このような方に対しては、
1. 主訴を十分にお聞きすること
2. その上で、考えられる理由を説明すること
3. この時点では応急処置を除き、処置は控えること
といった対応をしています。
ほとんどの場合、不安な患者さんの視線は歯科医師個人に向けられています。当然だと思います。
そんな患者さんには見えませんが、殆どの場合、確信の理由は健康保険制度上にあるとお話しています。
代表的な例を挙げてみます
1. 必要な処置が請求できないため省かざるを得ない。
2. 医学的に最低限の処置をすると赤字になってしまう(長時間かかります)ため妥協せざるを得ない等々。
私たち保険医はこのような診療環境で日々治療にあたっている現状をお伝えしています。
具体的例をいくつか
1. 義歯の調整をしない⇒義歯の調整の請求は月に何度行っても1回分の報酬のみ
2. 歯の神経を取ったが痛みが続く⇒かけられる時間が限られ十分な無菌操作ができない
3. 被せた前歯の色が合わない⇒指定された材料と報酬ではそもそも自然な色調の再現に限界がある
更に例を挙げると
殆どの(一部を除いて)歯科麻酔は医療機関の持ち出しです
仮歯の費用は前歯で340円(34点)で赤字(どんなに急いでも30分は掛かります)
単独臼歯の仮歯はそもそも該当が無いため医療機関の持ち出しです
要約すれば、診療上当然の行為が、健康保険では「赤字になるため十分な時間を掛けられない」「処置自体に保険適応がない」「期間や回数などの制限があり、処置や検査ができない」等々。
患者さんの立場からすれば、健康保険にこのような未整備があるとは考えもしませんので、疑問の矛先は歯科医師に向けられることになります。
このような環境の中、私共の診療室では出来る限り不採算や不合理を受け入れて35年以上診療にあたってきました。その結果、「保険診療では経営が成立しないと言わざるを得ないのです」と説明しています。
コロナ対応の医療が不採算部門となっているにも関わらず改善されずに放置されている事実が報道されるのをみるにつけ心が痛みます。同様のことが、歯科ではずっと以前から改善されていません。
転医されてきた患者さんの主訴をお聞きし、その説明を終え、最後にお話しするのは、
「機会があれば、受益者である患者さんの立場で改善を求めて下さい」「保険料を納めているのは患者さんなのですから」と。
今年こそ、長年の不合理が解消する一年となり、歯科難民が無くなって欲しいと想っております。