■ 現在治療中のケース - 長期間にわたる未処置により生じた歯槽骨・上顎骨の再建
2021.7.22[Thu]
■本日ご紹介するのは、大変珍しいケースでして、長期間に渡り複数の疾患を放置せざるを得なかったために、左上4567部に生じた歯槽骨及び左側上顎骨の広範な骨吸収欠損が生じてしまったケースです。
左上4番 : 歯根破折に起因する骨吸収
左上5番 : 欠損(過去に抜歯済)
左上6番 : 歯周病による骨吸収
左上7番 : 歯周病による骨吸収
1 : 左上C5Eブリッジと左上7番です。若干の炎症があるものの一見すると問題ないように見えます。
2 : 467番を抜歯しました。歯根があった部分の周囲は骨ではなく、炎症性の増殖した軟組織でした。過去に、何度も腫脹や排膿があったはずです。つまり、歯はこの軟組織により維持されていたことになります。
3 : 下方から上方を診た上顎骨のCT画像。左上45番は頬側側から、左上67番は口蓋側(内側)から、それぞれ高度の吸収を認めます。
4 : 同部術後です。欠損部に人口骨を埋入しています。
5 : 口蓋から診た上顎骨のCT画像。左上4は歯根破折により2本の歯根のように見えます。
6 : 同部術後です。欠損部に人口骨を埋入しています。
7 : 左側方から診た上顎骨のCT画像。左上4の歯根破折・左上7番の骨吸収が理解できます。
8 : 同部術後の画像です。
9 : 術前CT断層画像です。
10 : 同部、術後のCT断層画像です。
こちらの初診患者さんは、当初自覚症状が少なかった為に、重篤な病態を受け入れることができませんでした。CTを用いて説明し処置にいたりました。施術を納得して頂くためにも必ず結果に繋げる必要性が高いケースでした。
■ 現在治療中のケース - 骨造成後のインプラント埋入・上顎洞挙上の即日処置
2021.7.13[Tue]
■今回も、前回に続いて上顎洞底挙上のケースです。
本症例は、骨造成手術と上顎洞底挙上・インプラント埋入手術を2回に分けて実施しています。
骨吸収の状態が前回と異なり、歯周病による歯槽骨吸収が顕著であり、その吸収分を一次OPEにて造成する必要があります。その上で、二次OPEにてインプラント埋入時に不足する骨量を上顎洞底挙上によって補っています。
1 : 術前の右上6番が今回の処置部位です。
2 : こらは処置終了時の同部です。
3 : 術前のCTシュミレーション画像。
4 : 歯槽骨吸収に対する骨造成後の右上6番です。(一次OPE)
5 : インプラント埋入後の画像です。上顎洞に突き出したインプラント体の周囲を人工骨が覆っています。
6 : 術前のCTシュミレーション画像。
7 : 術前の同部位断面画像。
8 : 術後の同部位断面画像。
9 : 術前の上顎洞CTシュミレーション画像。
10 : 術後の上顎洞CTシュミレーション画像。
上顎洞底挙上を要する頻度は比較的高く、67番欠損の患者さんの40%程かと思います。
上顎洞底挙上術は、直視できない盲目的な手術方法の一つです。
熟練を要する手術方法の一つです。
(今回のケースで使用したインプラント体の長さは7mmを選択)
■ 現在治療中のケース - 抜歯・インプラント埋入・上顎洞挙上の即日処置
2021.7.4[Sun]
■本日は、左上65番の抜歯即時インプラント埋入のケースをご紹介いたします。左上6番は歯槽骨の骨厚が不足している為、上顎洞挙上も実施しています。
1 : 左上65番は歯根破折(微小破折)により根尖性歯周炎を生じています。保存困難なため、インプラント補綴にて処置する方針となりました。
2 : 術前CT画像です。左上6番の外側歯槽骨の吸収が生じています。
3 : 左上6は、抜歯後の骨厚が3mm程しかありません。上顎洞底挙上術にてインプラント埋入を致します。
(Crestal Approach)
(上顎洞底に人口骨を送り込み「底上げ」を行い、不足した骨量を補う処置)
4 : 左上5番の計画画像
5 : 左上6番の計画画像
6 : 術後のCT断面画像です。向かって右側の左上6番インプラント先端周囲には、人口骨により挙上された様子が確認できます。
7 : 同様の左上6番、横断面画像です。
8 : 抜歯により生じたスペースに人工骨を埋入します。真皮欠損用コラーゲンにて被覆し治癒を待ちます。
人工骨が骨様組織となり、インプラントが加圧に耐えうるように治癒するまで、最低6か月程の待機期間を要します。それ以前に仮歯の装着を予定しています。